④6日目【ドイツ人カップルとおじさん】善根宿「きくや」

2018年5月16日遍路日記

前回、22番札所平等寺(びょうどうじ)になんとか到着! 後は今日の泊まる場所を確保するのみ。のはずだったが…

平等寺でアベさんと別れ、
僕は自分の寝場所を探すことに。

ここ22番札所平等寺の近くには
善根宿「きくや」というところがあると
事前に情報を得ていた。

善根宿とは、
お遍路さんのために
無料で宿を提供してくれている
場所のことだ。

善根宿「きくや」さんは、 
平等寺から200mほどの場所にある
喜久屋金物店さんが提供している宿だ。

電話して、今から行くことを伝える。

5分ほどで到着する。

地元の地主さんという感じの
大きな家だった。

きくやさんに到着すると、
電話に出たおばさんが迎えてくれた。

お遍路さんに慣れているようで、
淡々と挨拶をかわし、

「じゃあその辺に荷物おいておいて」

といって誘導される。

「大丈夫?」

「え、あ、はい!」

「じゃあ、ここの庭の落ち葉広いしてくれる?」

「え、あ、はい!」

そう、ここは、
宿を無料で提供する代わりに、
軽作業をしてもらうことが
条件の善根宿だった。

正直、ここまですべての体力を使い果たし、
この上作業とはかなりきつい...
と思ったが、働かざる者なんとやらだ。

それに、作業自体は大した作業ではない。

ただ、きれいに砂利の敷かれた庭の上に、
落ち葉が落ちているから、
ホウキなどで掃いただけでは取り切れない。

しゃがみこんで一つ一つ取り除かなければいけない。

この軽作業は日によっていろいろ変わるらしい。

僕の時は落ち葉拾いだった。
かといっても、
本格的に葉が落ちる季節ではないため、
大した量ではない。

1時間弱くらい作業をし、
大方拾い終えたところで、
「もうあがっていいよ」との
声をかけてもらう。

「お疲れ様、きれいにしてくれてありがとうね。今日の夕食に、これどうぞ」

そういって、
カップラーメンとペットボトルのお茶をくれた。

今日の夜はカロリーメイトだけだと
思っていたからこれは嬉しい。

一晩宿をお借りできることの感謝を伝え、
ちょっと離れた宿の場所を教えてもらう。

宿は、10畳ほどの広さのプレハブだった。

外には洗濯機がある。

きくやさんの写真はすっかり取り忘れていて、
全然ないのが残念。

中には先客がいた。

「こんにちは~。あ、ハロー!」

作業服を着たおじさんと、
白人の若いカップル1組だった。

おじさんは、きくやさんの従業員? 
のような方で、
この宿の管理を任されている人だった。

片言の英語でカップルと楽しそうに話していた。

おじさんはその宿のすぐ裏手に住んでいるようで、
いつもこうして立ち寄っているんだそうだ。

とても気さくな方で、
すぐに仲良くなった。

「そうだ、カップラーメン食べるならネギいる? 畑になってるからとってきてあげようか?」

おじさんはぼくとカップルにそう声をかける。

カップル「ノー、サンキュー」

一瞬で断る。

僕「あ、はい、じゃあ是非!」

なんでも受け入れておく。

とってきてもらったネギが、
上の写真のネギ。

カップルはドイツからきたという。

金髪の彼女のほうがとても気さくで、
よく話してくれる。

彼女たちは、
お遍路を回っているという感じではなく、
ただ四国中を歩いているという感じだった。

今まで歩いてきたコースや、
明日からの予定を聞いても、
なんでそんなとこいくんだ?
って感じです。

しかも、基本はすべてテント泊。

二人とも同じくらい
大きなリュックを持っていた。

不思議なカップルだったけど、
こういう旅を共にできるパートナーが
いるっていうのは幸せなことだと思った。

彼女とはFacebookでつながり、
帰宅後にも何度かやり取りをした。

この時、カロリーメイトのフルーツ味を
分けてあげたんだけど、
それがものすごく気に入ったらしく、
「あれはサイコーだった。あの後ずっとあればっかり食べていた」
とメッセージに書いてあった。

夜が更けるまでみんなで話した。

おじさんからは遍路の情報なども色々得られた。

おじさん
「この先もし、○○っていう善根宿を見つけても、そこには泊まらない方がいいよ。そこは、宿主がなにかがなくなったとか言いだして、警察を呼ばれたり、そういう話をよく聞くから」

なるほど、色々な裏事情があるんだな。

街の人から情報を得ながら旅を進めていく。

なんだか昔やったドラクエみたいだ。

遍路って、一人孤独に自分と向き合い、
歩いていく修行だけど、
どこかこうして人とつながっているような
温かさを感じる。

しばらくして、おじさんは自宅へ帰り、
僕たちもシャワーを浴びたり
明日の準備をしたりしてから、
就寝することにした。

みんなで写真を撮っておかなかったのが残念だったな。

歩き遍路の旅6日目終了

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