先週(2019年7月)の株価値上がり率ランキングの1位は、
「川崎汽船」という会社だったそうです。
その理由は、イランをめぐる地政学の影響があるのだとか。
たまたま川崎汽船の株を持っていた人は、
資産が10%以上増えたことになります。
しかし、こういうことって表裏一体です。
逆に、先週この川崎汽船の株を買った人で、
もし今後、イランの地政学リスクが後退したとしたらどうでしょうか。
川崎汽船の株価が大幅に下落し、
もし、投資した資産のほとんどがなくなってしまったとしたら。
しかもそのお金が、老後資金として貯めていたお金だったり、
莫大なお金を失いかけている、旦那さんに内緒で株取引を行っていた主婦の人だったとしたらどうでしょうか。
きっと、また自分のお金が戻ってくるように、イラン情勢の地政学リスクの緊張を願わずにはいられないはずです。
これは、戦争でも全く同じです。
戦争は経済が動きます。
そうすると、資本主義社会では、儲かる人も損する人も出てきます。
この時、損した人は、自分の身が破滅しそうな状態で、世界から戦争がなくなりますようにと祈れるでしょうか。
これは無理です。
今の社会というのは、構造的に戦争がなくならないようにできています。
なぜかというと、必ず、戦争を求める人たちがいるからです。
それは特別な人たちではありません。
ただ、世界の裏側で起こっている、現実とは思えない世界の出来事よりも、今、自分の身がかわいいと思う普通の人たちです。
私たちがそんな社会を否定できるかと言ったら、それは結構難しいのではないかと思います。
他人には自分に対する配慮を求め、お店には過剰なサービスを求め、責任は国や社会に転嫁し、自分自身は節制を知らず、自制心を持たず、忍耐力を学ばず、奇麗なものだけを見て、快適さを求め、不便を嫌い、自尊心を満たすため人の評価を求めて生きている。
そんな私たちが、果たして本当に戦争を失くそうと声をあげられるのでしょうか?
さあ、どうでしょう。
思考を停止せず考えてみてください。
そんなに贅沢しようと思ったわけではなく、ただちょっと、いいバッグでも買えたらそれでいいという程度のつもりで株を買ってみたら、戦争の懸念が和らいだということで株価が大暴落。
これが旦那さんや、あるいは奥さんにばれたら、身の破滅。
ただ、ほんのちょっとの歯車の違い。
普段は良心的で人柄もいい人でも、
ほんのちょっとした心の隙間で、
全てを失うかもしれない。
そんなときに、わが身を忘れて世界の平和を祈れるでしょうか。
これは、私たち一人一人が問われている現代社会の課題です。
本当に世界の平和を祈るなら、
そういった課題に答えを出していかなければなりません。
皆さんは、本当に平和を望みますか?
そのためには自分がどこまで犠牲を払い、
譲歩できるでしょうか?
コメント