②5日目【通りすがりにお金をもらう】井戸寺~18番札所恩山寺

2018/5/15の遍路日記

目次

地蔵院から峠の道を進む

17番札所を後にし、
18番札所「恩山寺(おんざんじ)」に向かう。

恩山寺への道のりは、
ここまでで一番長い。

その距離20キロ近くある。

おばちゃんに教えてもらった道を進む。
途中の通過点「地蔵院」で一休みする。

ここは札所ではないから御朱印は頂かない。
だけどせっかくなのでお経をあげる。

他に一人だけお遍路さんがいた。
とてもお経の上手い人だった。

山門の正面には調整池がある。

これだけのお寺を札所に入れないのは
もったいない気がした。

ここの地蔵院を過ぎたら、
峠道にはいっていく。

ああ、やっぱりそういう道ですよね。

亀いた。

日本一低い山にであう!!
なんと標高6.1メートル!
せっかくなので登山しました。

通りすがりの女性に100円をもらう

なんとか峠を抜け、車道にでる。
大きな国道の歩道を歩く。

辺りには僕以外に遍路は見当たらない。
車の人たちは、
僕のことがどう見えているのだろうか。

こういう格好をして歩いている人なんて
当たり前のように見慣れているのだろうか。

そんなことを考えてはいるものの、
5日もこの格好で歩いていると、
人の目も気にならなくなっていた。

大きな橋を越え、
大きな交差点の、
幅の広い横断歩道を渡る。

反対から一人の女性が渡ってくる。
他に歩行者がだれもいないところで、
こうして真正面からすれ違うと、
さすがにちょっと恥ずかしい気もする。

女性とすれ違う。

「あの、これ、もらってくれますか?」

「えっ?」

横断歩道の真ん中で、
その女性は手のひらにのせた100円玉をこちらに差し出している。

「えっ、いいんですか⁉ ありがとうございます!」

そういってその100円玉を受け取った。
信号が赤に変わりそうになった。

女性の進行方向に合わせ、
横断歩道を後戻りする。

「本当にいただいてもいいんですか?」

「はい、あの、本当は1万円だそうかと思ったんですが、うちも家計が厳しくって

「いや、金額なんて関係ないです。そのお心遣いがすでに1万円の価値がありますから、そのお心をしっかり頂いておきます。ぜひ、納札をもらってください」

そういうと女性は、
とても喜んでくれて、
さらに、逆に申し訳ないといって、
財布からお札を出そうとする。

お心だけで本当に充分ありがたいことを伝え、
おさめてもらった。

彼女は、いつかお接待をしたいと思っていたが、
今までなかなか機会がなかったのだという。

今回こうしてお金をお接待してくださったのは、
実は初めてのことだという。

彼女は、「出すのを悩んだ」と言っていたけど、
お接待する側にもやっぱり勇気がいるんだな、

そんなことを改めて教えてもらった気がした。
彼女に深くお礼をいい、
彼女と彼女のご家族のご健康を祈って88番札所まで
お参りすることを約束し、別れた。

初めていただいたこの100円玉は、
88番札所まで運び、
そこにお返ししよう、
そう決めた。

それと、井戸寺のあのおばちゃんにも感謝だな。

あの方との出会いがなければ、
この出会いもなかったはずだから。

後記

もっとずっと後に知る話だけど、
お接待は、される側のマナーや態度が
悪かったりすることがあり、
せっかくお接待をしても、
した側が気分悪くなることもあるそうです。

お接待をしてくださる方は、
弘法大師様の影にお接待をしてくれているんです。
なんにもない僕がただ歩いていたって、
だれもお接待なんかしてくれません。

弘法大師様の分身である杖を持ち、
白装束を着て歩いているから、
お接待をしていただけるんです。

そのことを思えば、
例え1円であっても1万円であっても、
その価値は同じであると思わなければならないと思います。

遍路は、街の人の想いを一緒に背負って、
最後まで回ってあげることも勤めです。

これは前にも書いたけど、
やっぱり大切なことです。

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